2011/11/26 02:10:46
http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20111125k0000e020070000c.html
販売競争が過熱しているスマートフォン(多機能携帯電話)を巡り、特許訴訟合戦が激化している。日本でも10月、韓国サムスン電子が米アップルの新製品「iPhone(アイフォーン)4S」の販売差し止めの仮処分を申請した。しかし、実は攻勢に出ているのはアップル。背景には、故スティーブ・ジョブズ氏の「怒り」もあるというが--。【乾達】
「端末の形状、操作画面、パッケージまで酷似した模倣品だ」。アップルは4月以降、アイフォーンやタブレット端末「iPad(アイパッド)」に対抗してサムスンが発売した「ギャラクシー」シリーズを日米欧などで提訴。ドイツ、オーストラリアではデザインやタッチパネル技術の侵害を認め、販売差し止めの仮処分が出た。
これに対し、サムスンもアップルが通信技術などの特許を侵害しているとして相次いで逆提訴。両社間では10カ国、20件以上の訴訟が提起されており、特許をめぐる「全面戦争」に発展している。
火種になったのは米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」。同社は、サムスンなどのメーカーにアンドロイドを無償提供している。アンドロイド端末を増やすことで、同社の収益源となるインターネット広告を拡大する狙いだ。アンドロイド端末の販売台数はアイフォーンの数倍に達し、中でもサムスンは7~9月に単独でアップルを超えたと見られ、端末販売で稼ぐアップルの脅威となっている。
アップルは昨年来、台湾HTCなどアンドロイドを採用する主要メーカーを提訴。サムスンはアイフォーンの主要部品である半導体の供給元でもあるが、アップルは和解を拒絶し、販売停止を求め続け、部品調達先の変更もうわさにのぼるほどだ。一方、スマートフォン関連の特許を多数保有する米マイクロソフトはサムスンやHTCから特許使用料を徴収することで矛をおさめており、アップルの「本気度」が際立つ。
「なぜそこまで」との疑問も出るが、ジョブズ前最高経営責任者の伝記に“答え”が見つかる。ジョブズ氏はアンドロイドがアイフォーンのアイデアを盗んだものだと激怒し、「水爆を使ってでも抹殺する」と言ったという。
スマートフォン関連の特許は20万件以上と言われ、参入して間もないグーグルは出遅れている。「裁判で負けが続けば、他のメーカーも使いにくくなる」(情報通信総合研究所の清水憲人主任研究員)との見方もある。
アンドロイドの普及にブレーキがかかるのを恐れるグーグルは、6月に競売に出たカナダ通信機器大手の特許6000件以上の落札を目指したが、アップルやマイクロソフトなどの企業連合にさらわれ、つまずいた。
それでもその後は、米IBMから1000件以上の特許を買い取り1万7000件の特許を持つ米モトローラ・モビリティを総額125億ドル(約9600億円)で買収することも発表、メーカーを支援する態勢を整える。
芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士は「特許訴訟はつぶし合いになり双方とも得はしない。いずれ特許の相互利用を認めるクロスライセンスを模索することになる」と話し合い決着を予想する。
ただ「アンドロイド駆逐」を誓ったジョブズ氏の死が、訴訟を長引かせるのか、逆に和解への転機になるのかはまだ見えてこない。
毎日新聞 2011年11月25日
販売競争が過熱しているスマートフォン(多機能携帯電話)を巡り、特許訴訟合戦が激化している。日本でも10月、韓国サムスン電子が米アップルの新製品「iPhone(アイフォーン)4S」の販売差し止めの仮処分を申請した。しかし、実は攻勢に出ているのはアップル。背景には、故スティーブ・ジョブズ氏の「怒り」もあるというが--。【乾達】
「端末の形状、操作画面、パッケージまで酷似した模倣品だ」。アップルは4月以降、アイフォーンやタブレット端末「iPad(アイパッド)」に対抗してサムスンが発売した「ギャラクシー」シリーズを日米欧などで提訴。ドイツ、オーストラリアではデザインやタッチパネル技術の侵害を認め、販売差し止めの仮処分が出た。
これに対し、サムスンもアップルが通信技術などの特許を侵害しているとして相次いで逆提訴。両社間では10カ国、20件以上の訴訟が提起されており、特許をめぐる「全面戦争」に発展している。
火種になったのは米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」。同社は、サムスンなどのメーカーにアンドロイドを無償提供している。アンドロイド端末を増やすことで、同社の収益源となるインターネット広告を拡大する狙いだ。アンドロイド端末の販売台数はアイフォーンの数倍に達し、中でもサムスンは7~9月に単独でアップルを超えたと見られ、端末販売で稼ぐアップルの脅威となっている。
アップルは昨年来、台湾HTCなどアンドロイドを採用する主要メーカーを提訴。サムスンはアイフォーンの主要部品である半導体の供給元でもあるが、アップルは和解を拒絶し、販売停止を求め続け、部品調達先の変更もうわさにのぼるほどだ。一方、スマートフォン関連の特許を多数保有する米マイクロソフトはサムスンやHTCから特許使用料を徴収することで矛をおさめており、アップルの「本気度」が際立つ。
「なぜそこまで」との疑問も出るが、ジョブズ前最高経営責任者の伝記に“答え”が見つかる。ジョブズ氏はアンドロイドがアイフォーンのアイデアを盗んだものだと激怒し、「水爆を使ってでも抹殺する」と言ったという。
スマートフォン関連の特許は20万件以上と言われ、参入して間もないグーグルは出遅れている。「裁判で負けが続けば、他のメーカーも使いにくくなる」(情報通信総合研究所の清水憲人主任研究員)との見方もある。
アンドロイドの普及にブレーキがかかるのを恐れるグーグルは、6月に競売に出たカナダ通信機器大手の特許6000件以上の落札を目指したが、アップルやマイクロソフトなどの企業連合にさらわれ、つまずいた。
それでもその後は、米IBMから1000件以上の特許を買い取り1万7000件の特許を持つ米モトローラ・モビリティを総額125億ドル(約9600億円)で買収することも発表、メーカーを支援する態勢を整える。
芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士は「特許訴訟はつぶし合いになり双方とも得はしない。いずれ特許の相互利用を認めるクロスライセンスを模索することになる」と話し合い決着を予想する。
ただ「アンドロイド駆逐」を誓ったジョブズ氏の死が、訴訟を長引かせるのか、逆に和解への転機になるのかはまだ見えてこない。
毎日新聞 2011年11月25日
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